騎士団長は若奥様限定!?溺愛至上主義
(まさか……彼が、ルーカス? でも、オリヴァー国王陛下は確かに今、彼をルーカスと……)
遠い日の記憶にいたあどけない少年とはまるで別人で、ビアンカの頭の中は混乱で揺れていた。
けれど、この場で驚いているのはビアンカただ一人で、誰もが当然のように彼のことを受け入れている。
「ルーカス、お前にしては、随分遅い帰りだな」
「……申し訳ありません、兄上。捕らえた山賊が酷く抵抗しまして、急遽、その場で手を下して参りました」
オリヴァーの隣で足を止めた彼、ルーカスは、そう言って胸に手を当て腰を折った。
(山賊に、手を……下してきた?)
ビアンカはルーカスを目で追いながらも、頭の中では今の状況を整理しようと必死だ。
今、目の前にいる彼の姿は、ビアンカの想像していたものとは、まるで違う。
ビアンカはてっきり、オリヴァーと同じくルーカスも穏やかな様相で、王族の正装に身を包んでいるものとばかり思っていたのに……。