騎士団長は若奥様限定!?溺愛至上主義
 


「まさか、あなたが率いるご自慢の騎士団が、賊の侵入でも許したのかしら?」


待ってましたとばかりに口を開いたのは王太后だ。


「賊の侵入を許すなど、あってはならない失態だわ。本当に……恐ろしい。今後のためにも騎士団の体制を、見直さなければいけないのでは?」


飄々と言ってのける王太后の自信は、一体どこから出てくるのか。

けれど、これも彼女の狙いなのだろう。

王立騎士団に不名誉を与え、ルーカスの立場を危うくすること。ルーカスとビアンカが助かっても、こうすることを彼女は最初から目論んでいたのだ。


「国の英雄だとかなんだとか言われていても、失態にはそれ相応の罰が必要よ」


王太后の言葉にビアンカは思わず怒りで肩を震わせたが、それを落ち着かせるようにルーカスがビアンカの身体を引き寄せた。

今、ここで王太后のペースに乗せられてはいけない。王太后は面白そうに目を細めて、ルーカスが取り乱すことを期待している。


「……今、言ったことは誠なのか、ルーカス」

「はい、国王陛下。王太后陛下の仰る通り、賊の侵入を許したのは我が騎士団の失態と言えましょう」


言いながら頭を下げたルーカスを前に、オリヴァーは苦々しげに眉根を寄せた。


「本日は大切なゲストをお迎えしての晩餐会。我が騎士団は通常の二倍以上の警備を配置し、細心の注意を払っておりました」

「それならば、何故こんなことに……」

「我々は外部からの侵入者を意識するあまり、内側の敵を泳がせ過ぎたのです。それは間違いなく騎士団の失態であり、それを取りまとめる私の失態だったともいえます」

「内側の敵……?」


ルーカスから告げられた言葉に、オリヴァーが目を見開いた。

内側の敵。国王であるオリヴァーからすると、聞き流せない言葉だろう。

 
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