騎士団長は若奥様限定!?溺愛至上主義
「ルーカス。お前が言う、その内側の敵とやらは、まさか……」
オリヴァーの問いに、ゲストたちが一斉に息を呑む。
「……はい。王宮内に賊を引き入れたのは、王太后陛下です」
「な……っ!?」
「そして、彼女と共謀して動いていたのは前宰相アーサー殿。賊とアーサー殿、二人の証言が一致すれば、我々の命を狙った黒幕が王太后陛下であることが、より明確となります」
「何を言う、ルーカス……!!」
堪りかねたように声を荒げたのは王太后だった。
顔色を青く染めた彼女は、ワナワナと震えながら強く拳を握っている。
きらびやかなドレスと宝石。品よく施された化粧と丁寧に結われた髪。
けれど、彼女が身につけた装飾品がどれだけ美しく輝こうとも、彼女の心は灰色に汚れている。
「ルーカス……それは、誠なのか」
「はい、国王陛下。必要な証言は、そろそろこの場に──」
「失礼いたします!!」
その時、凜とした声が大食堂内に響き渡った。
その場にいる全員が声のした方へと振り向くと、そこには騎士団員であるジェド、そして騎士団員たちに両腕を抱えられた前宰相アーサーの姿。
更に以前、ビアンカが王太后と回廊で話をした時に、王太后の後ろに控えていた侍女の姿があった。
「アーサー!!」
悲鳴のような声を上げたのは、王太后だ。彼女は俯き、顔色を青くしているアーサーを見て、怒りに肩を震わせている。