騎士団長は若奥様限定!?溺愛至上主義
「ルーカスが、セントリューズを我が物にしようと企てている? 私が、ルーカスと共謀して毎夜子作りに励んでる?」
だけど、ビアンカは違う。ビアンカは善良なる一般市民──いや、一応王族で、騎士団長であるルーカスに嫁いだ身だ。
自分が生涯をかけて愛すと決めた男が、薄汚いだのなんだのと侮辱され、黙っていることなんてできるはずもなかった。
その上、近隣諸国の王族たちの前で二人の夜のことまで口にされ……とんでもない、とばっちりだ。
「私たちが、オリヴァー国王陛下の命を狙っているなんて……勘違いも、甚だしい」
寧ろオリヴァーには心から感謝している。なぜなら彼のお陰で、ルーカスのことを知ることもできた。
「あなたの残念な妄想のせいで攫われた挙句、綺麗なドレスはクタクタ。コルセットに締め付けられてただでさえ苦しいのに、頭にタンコブまで出来たこっちの身にもなってよ」
「……タンコブ?」
ビアンカの言葉に、一瞬、ルーカスの口から唸るような声が出た。
それに気付いたジェドは肩を震わせ、牢屋の中にいるアストン元将軍に心の中で十字を切る。
「本当なら、頭から水をかけたくらいじゃ収まらないほど、貴方に対して腹が立っているけれど……」
思いっきり、頬を叩いてやりたいくらいには苛立ってもいるけれど。