騎士団長は若奥様限定!?溺愛至上主義
 


「そもそも、街で山賊が暴れているという報告を受けたお前が突然、血相を変えて王宮を飛び出して行ったと知って、我々がどれだけ肝を冷やしたか……。いつもは数人の山賊相手に"長"であるお前が直々に出向くなどしないだろう?」


(……ちょっと待って)

いよいよ状況についていけなくなったビアンカは、相変わらず背後で息を潜めている侍女のアンナへと視線を向けた。

すると、白々しく目を逸らしたアンナは、とぼける気満々で口笛でも吹きそうな顔をしている。


「申し訳ありません、ビアンカ王女。この、ルーカス──弟は少々、愛想がなくて」

「あ……っ、は、はいっ! って、いいえ! あ……すみません……! そんなことは、どうかお気になさらず! そ、それよりも、あの……いえ……」


ビアンカの頭の中は、もう、どうにも収集がつかなくなっていた。

想像していたルーカスがまるで別人となって現れたと思ったら山賊を手にかけていて……。

だけどルーカスは別人ではなくて、薔薇が似合う男性かと思ったけれど軍服を着た結婚相手で……。

 
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