騎士団長は若奥様限定!?溺愛至上主義
 




「ルーカス、突然、どうしたんだ?」


麗らかなる昼下がり。

セントリューズ王立騎士団、騎士団長を務めるルーカスは、国王オリヴァーの元を尋ねていた。

突然現れた弟に、オリヴァーは驚いている。

騎士団の伝達係がルーカスの指示でオリヴァーの元を訪ねてくることはまま有れど、ルーカス自身が訪ねてくるのは、とても珍しいことだ。


「今日は折いって、陛下にお願いしたいことがあって参りました」

「お願いしたいこと?」

「はい」


うやうやしく一度だけ頭を下げたルーカスは、ゆっくりと顔を上げると真っ直ぐに、兄であるオリヴァーを見つめた。

黒曜石のように黒く、美しい瞳。

長い睫毛、艶のある黒髪と整った顔立ちは、まるで神が意図して創り上げたような生きた芸術品を思わせる。

 
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