騎士団長は若奥様限定!?溺愛至上主義
「不束かな弟ではありますが、これから、どうぞよろしくお願いいたします」
そう言って、再び朗らかに微笑んだオリヴァーの隣ではルーカスが真っ直ぐに、ビアンカを見つめていた。
美しい、黒曜石のような黒い瞳。見惚れるくらいに綺麗な彼は今の今まで表情一つ変えることなく、目の前に佇んでいる。
ルーカスは一体……今、何を思っているのか。
これから自分の妻となるビアンカを前に、何を考えているのだろう。
「こ、こちらこそ……これから、どうぞよろしくお願いいたします」
戸惑いながらも再びドレスを持ち上げて、ビアンカは静かに頭を下げた。
それが今の彼女にできる、精一杯だったのだ。
何を考えているかもわからない。
ひたすら真っ直ぐに、自分を見つめる彼こそが……今からビアンカの夫となる男。
国王の隣で静かに佇む彼こそが、セントリューズ王国第二王子──【王立騎士団長】ルーカス・スチュアート、その人だった。