騎士団長は若奥様限定!?溺愛至上主義
「まさか、ルーカス様が王立騎士団の騎士団長を務めているなんて……そんなこと、私は誰にも聞かされてない!」
けれど、そんな風に感じたのも、その一瞬だけだった。
すぐに無表情に戻ったルーカスは、それ以降一度もビアンカを見ることなく婚儀を終えると、どこかへ消えてしまった。
残されたビアンカは用意された部屋で、アンナを相手に頭を抱えるしかない。
ようやくコルセットの締め付けから解放されたというのに、今のビアンカの気分はどうやっても浮き上がらなかった。
「どうして、教えてくれなかったの!?」
ビアンカの纏う、可愛らしいレースのあしらわれた白いネグリジェの裾がフワリと踊る。
落ち着かない様子のビアンカを前に、一度だけ溜め息を吐いたアンナは一瞬目を伏せてから、ゆっくりと重い口を開いた。