騎士団長は若奥様限定!?溺愛至上主義
「ビアンカは、剣の鍛錬をする必要はない」
「……っ」
「お前のことだけは、何があっても俺が守るからな」
遠い日に想いを馳せていたビアンカを現実へと呼び戻したのは、ルーカスの力強い声。
絡み合う視線と視線。ルーカスの指先が、ビアンカの頬を優しく撫でる。
妖艶な手つきに身体が震えて、目には生理的な涙が滲んだ。
「だからお前は、安心して俺の腕の中にいろ」
(……どうして。どうして、そんなことを言うの?)
本当なら今すぐ、セントリューズから追い出されても可笑しくはないというのに。
優しい彼の言葉に、ビアンカはただただ、困惑するしかなかった。
「……っ!?」
その時、ルーカスの唇が、ビアンカの首元へと静かに落ちた。
ゆっくり、ゆっくりと。
愛おしむように触れる熱い唇はビアンカの胸元で止まると、そこにチクリと、甘く痺れる痛みを残す。
「……他の男には、指一本、触れさせはしない」
「……あ、っ」
甘く、とろけるような台詞を耳元で囁かれ、ビアンカの身体は血液が沸騰したかのように熱を持つ。
自分を真っ直ぐに見下ろす濡れた瞳は美しく、キャンドルの淡い光を灯して、ゆらゆらと揺れていた。
……ルーカスに触れられたところ全てが、燃えるように熱い。
顕になった肌を優しく撫でられるたび、身体は正直に震え、強張った。