騎士団長は若奥様限定!?溺愛至上主義
「ん……っ」
ルーカスと初めての夜を過ごした翌朝。目が覚めると隣で眠っていたはずのルーカスの姿は消えていた。
ビアンカは慌ててベッドから身体を起こし、辺りを見渡してみるが彼の姿は見当たらない。
(……なんだか、不思議)
まるで、昨日起きた出来事が全て夢のようだとビアンカは息を零した。
けれど、その夢のような出来事は全て、紛れもない現実で……。自分はルーカスの元へと嫁ぎ、妻となったのだと思うと今更、胸がドキドキと高鳴って苦しくなった。
「……!!」
と、ビアンカは自分の身体に起きた、ある小さな異変に気がついた。
ゆっくりと、胸元へと落とした視線。そこには昨夜ルーカスが残した赤い花が咲いていて、必然的に頬が赤く染まる。
思い出すのは昨夜の──ルーカスと初めて過ごした、夜のこと。
昨日はあのあと本当に、ルーカスはビアンカを抱きしめて眠った。
軍服を脱ぎ、夜着に着替えたルーカスはベッドに戻ると宣言通り、ビアンカを腕の中へと閉じ込めたのだ。