騎士団長は若奥様限定!?溺愛至上主義
「顔色は、よろしいみたいですね」
「え?」
「昨夜はルーカス様と、最悪、喧嘩でもして部屋を飛び出してくるのではないかと心配していたのですが……案外、大丈夫そうでホッとしました」
「……っ!?」
そう言ったアンナの視線が一瞬、ビアンカの胸元へと落ちた。
昨夜、ルーカスが残した赤い花。アンナは今、絶対に、それを見て何かを悟った気でいるのだろう。
「ち、ちが……っ、これはっ」
再び、ビアンカの頬が赤く染まる。
「ああ、申し訳ありません、ついつい」
恥じらうビアンカを見て、アンナはからかうように、ニヤリと笑った。
「ビアンカ様が大人になられたかと思うと、アンナは嬉しくて嬉しくて、感慨深くて」
「だ、だから……っ」
「慣れないことで、今は、お身体もお辛いかと思います。それでも回数を重ねれば、自然と身体が順応していくものですから──」
「だから……っ、違うんだってば……!!」
思わず叫んで、ビアンカはシーツを慌てて自身の身体に巻き付けた。
アンナは今、絶対に、ビアンカとルーカスが昨夜、男女の仲になったのだと勘違いしているのだ。