騎士団長は若奥様限定!?溺愛至上主義
「何も隠すことではないじゃないですか。夫婦になったのだから、当然のことですよ」
「だ、だから……っ」
「寧ろ、ガンガン……ああ、失礼。どんどん、やっていただかないと。お二人とも、お若いのですから、それはもう、一晩で何度でも」
小鳥の鳴く爽やかな朝。
ティーカップにミルクティーを注ぎながら交わされている会話とは、とてもじゃないけど思えない。
「ルーカス様はお身体もお強そうですし、ビアンカ様もお付き合いするのは大変かもしれません。ですが、今言いました通り、その内、身体も慣れてくるはずで──」
「シテないの……!!」
「は……?」
「だ、だからっ。昨日は、その……ルーカスとは、そういうことはしてなくて。……ただ、一緒のベッドで寝ただけなの。朝起きたらルーカスはいなくなっていたし、だから何も……」
「ハァ……ッ!?」
ビアンカが全てを言い終えるより先に、アンナが吠えた。
突然、アンナの手から乱暴に下ろされたティーカップが、カチャン!と危なげな音を立てる。
思わずビクリと身体を震わせたビアンカを前に、アンナは目を三角に釣り上げている。
「ア、アンナ……?」
そのままツカツカとベッドまで歩いて来たアンナは固まるビアンカの前で足を止め、一度だけフンッ!と鼻を鳴らした。
「ちょっと、失礼」
「きゃあ!?」
そうして、有無を言わさずビアンカからシーツを剥ぎ取ると、入念にベッドの上をチェックし始めた。
「どいてどいて」と、ビアンカは座っていた場所まで移動させられて、随分な扱いだ。