騎士団長は若奥様限定!?溺愛至上主義
「でも……どうしても、我慢できなくて」
それでもあの時、王太后とアーサーに言い返したことを後悔していない。
ルーカスと王立騎士団を侮辱されたまま、引き下がるなんてできなかった。
「何を言われたんだ」
「……言いたくない」
ビアンカが拗ねたように唇を尖らせると、ルーカスは呆れたように息を吐く。
今、ルーカスは頑なな自分に対して苛立っているのだろう。
だけど、たとえそうだとしても、言いたくないものは言いたくないのだ。
言ったら絶対に、ルーカスが傷付くようなこと──ルーカスを傷付けるようなことは、どうしたって、ビアンカは口にしたくなかった。
「……バカだな、お前は」
「……っ」
フッ、と。ビアンカの耳元でルーカスが小さく笑う。
「あの二人が何を言ったかなんて、大体想像がつく」
「え……」
「だから、そんなことよりも、お前に何もなくて、本当に良かった……」
「ルーカス……?」
「頼むから、俺の目の届かないところで無茶をするのは止めてくれ。このままだと……お前をここに、閉じ込めておきたくなる」
「……っ」
言葉と同時、耳を甘く噛まれて、ビアンカの身体がブルリと震えた。
そのまま、スルリと滑り落ちた唇は、ビアンカの首裏を甘く優しく、嬲っていく。