騎士団長は若奥様限定!?溺愛至上主義
「や……っ、ルーカス……っ」
「そんな声で俺を呼んだら、余計に止まらなくなるぞ?」
「──っ!?」
そっと、ルーカスの指がビアンカの顎を優しく掴む。
そのまま上へと引き上げられて、何をされるかと身構えるより先に、唇と唇が重なった。
「……んんっ」
咄嗟に身体を離そうともがいたけれど、屈強な身体はビクともしない。
初めての、キス。
伝わる熱の熱さに眩暈がして、ビアンカは今にも腰から崩れ落ちてしまいそうだった。
「や……っ、ルーカス……ダメ……っ、こんなところで……っ」
涙を溜めた瞳でルーカスを見上げれば、彼の目が男の色を映して妖しく光る。
「そんな顔をするな。今すぐここで、抱き潰してしまいたくなるだろう」
「……っ」
「それとも今からここで、明日の朝まで俺に抱き潰されたいか……?」
その言葉にビアンカの頬は赤く染まり、身体の芯は甘く震えた。
視線の先には目の眩むような美しさを持つ、ルーカスがいる。
高鳴る鼓動の原因は、間違いなく彼だ。
先ほどまでのルーカスと、まるで違う。
王太后とアーサーを前にした彼の目は冷たく、無機質だったというのに──。
今のルーカスの目には熱く、滾るような熱情が溢れていて、一心にビアンカを見つめていた。