騎士団長は若奥様限定!?溺愛至上主義
「そ、そんなこと、言って……」
「……うん?」
「どうせ、私のことなんて、ただの小娘だと思っているくせに……っ」
「ビアンカ?」
「じ、自分に、そんな風に言ってもらえるような色気がないことなんて、自覚してるの……っ。だからまた、適当な言葉で私をあしらおうとしているんでしょう!? もうその手には、乗らないんだから!」
ビアンカは目に涙を溜めたまま、ルーカスを睨み上げた。
今、こんな風にドキドキしているのは自分だけなのかと思ったら、どうしようもなく悔しくなったのだ。
口では抱きたくなるだなんて言うけれど、どうせ、心の中ではそんな風に思っていないくせに。
どうせ、抱く価値もない小娘だと思っているくせに──。
「……お前の方こそ、少しは自覚したほうがいい」
「え……ひゃあっ!?」
「自分がどれだけ、俺のことを振り回しているのか」
ふわり、と。突如、ビアンカの身体が宙に浮いた。
そのままどこに運ばれるのかと思えば、お姫様抱っこでビアンカを抱えたルーカスによって今度はデスクの上へと下ろされる。