『さよなら』の思い出
「まじで!?西宮悠です!」
「あ、知ってたかも。」
聞いたことあるかもしれない。
うん。
ある。
多分。
あるはず。
「覚えてないならないでええねんで…?」
「ごめん。覚えてない。」
悠ってなんか…忘れやすい名前。
いや、私の偏見だろうけど。
「俺はたまに悠って呼ぶだろ。」
「めっちゃたまにやん!」
呼んでる所聞いたことないな。
西宮ってあんまり悠って顔じゃないし。
「どんな顔やねん!?」
「こんな顔やねん。」
「やだ。真顔で関西弁喋る綾羽かわいい。」
志穂がなんか言ってるけど気にしない。
割といつものことだから。
「志穂は本当に高峰の事好きだな。」
「娘のように思ってます。」
相当な親ばかになるね。
「陽斗やって綾羽の事…」
…あ、すずめ。
「黙れ西宮。」
朝から元気だなぁ。
小さくて可愛い。
「え、待って何、何言おうとしてたの西宮。」
「これから名前で呼んでくれたら言わんこともない…」
「早く言え西宮!」
「言うな西宮!」
「だから名前で呼んで!?」