君と僕と記憶と。
ガラガ…ガ…ガガガ。




少々立て付けが悪いドアを開けると、暗い教室に響く。




僕の席は…と。




「ひっ」




暗い教室に電気を付けると人がいた。




それは、稲嶺 遙だった。




何故だか見てはいけないものを見てしまったかのように罪悪感を覚えたが、稲嶺 遙は寝ていた。




もうすぐ19時半。




起こすか否かの判断に15秒ほど 悩み…起こすことに決定した。




寝ている女子クラスメイトに忍び足で近づくというのは、僕の信念に反する。
が疚しいことがあるわけでもなく優しさからの行動なのだと 自分に言い聞かせる。




「おい…稲嶺 遙。起きろ…。」




稲嶺 遙が起きたところで




『貴方誰?』




と言われるというのは間違いないだろう。




…その場合何を言うべきか。




と彼女の頭をバシバシ叩きながら考える。
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