君と僕と記憶と。
叫んだ…。




そして、




「え、あぁ…もうっ。失礼、していただきます!!」




と言い、彼女はジタバタとした後、僕の脇を通り華麗に消えていった。



いや逃げていったの方が正しい。




日本語のおかしい言葉を喚きながら。




呼び止めようと思って廊下に出てみたが、もう 稲嶺 遙はいなくなっていた。



流石は100m13秒台と言ったところか…。




ん?
待てよ。




稲嶺 遙は… 『記憶が寝ると消える』人だよな…?




彼女は先ほど僕の名前を読んでいた…?




おかしい。
凄くおかしい。




教室の中をグルグル回りながら、頭をフル回転させる。
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