君と僕と記憶と。
「稲嶺は10月という何とも言えない微妙な時期に転校してきて、みんなも驚いただろうな。私もなかなかに大変だ。」




「先生がそゆこと言う!?」




キレのいいツッコミが副委員長(萩原 円 はぎわら まどか)から入る。




「そうだな、ははっ。でも1番大変なのは稲嶺だから、みんなよろしく頼むぞ。」




心なしか担任の表情が曇った気がした。



けれど、気づいてる人はほとんどいなそうだった。




「…稲嶺……話なさい。」




僅かに間をあけて、普段明るい担任が、重たい雰囲気を纏わせ発した その言葉に、流石にみんなも気づいたらしい。




全員、それぞれ不思議そうな顔をしていた。




『どうしたんだ?』




誰もがそう思って、沈黙が生まれる。




その沈黙を破ったのは転校生だった。
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