君と僕と記憶と。
「おい、稲嶺。」
「えっとー…桐生くん。おはよう!」
僕が声をかけると、稲嶺は
パァっと 笑顔を輝かせ挨拶をしてきた。
その表情は普通の男子なら 胸にときめきを覚えるものであろう。ーーー稲嶺のちょっと変わった性格を知ってしまったーー
しても…可愛かった。
……いや認めん。
「おはようじゃない。」
「え?朝だよね…今。」
「そーゆー事じゃない。…あぁ、もう!こっちに来い!」
ここじゃ、聞き耳をたててるやつが多すぎる。
クラス内のざわめきが少々耳障りだったが
僕としても それを気にしてる所ではないので
稲嶺の手首を引っ張り、屋上まで連れていった。
「ちょっとぉ!痛いっ!」
「自業自得だ。」