君と僕と記憶と。

KA…WA…I I…

いや、違う。

…そう…そう……。

「服がな。」


「なっ、一言余計なのよ!」


「なんで遅れた」


「え、あ、支度に手間取っちゃって…。」


「連絡くらいしろ。心配する。」


「え、あ、あぁ。ごめん。でも大丈夫、そこまでボケてないよぉ〜」


稲嶺はヘラヘラっとしながら 答えた。


「…。じゃあ。い、行くぞ。」


デートが上手くいくかどうかは、行動一つ一つにかかると本にも書いてあったため妙に緊張している。


…稲嶺のために緊張?
ばかばかしいな。


でも、稲嶺が記憶を消すのをやめて欲しい気持ちは強い。
その目的の為にも僕はこので、デートを成功させる。

「そういえば、今日の予定、私全然知らないんわ」

ぽんっと僕は稲嶺にスケジュールの紙を渡す。

「ん?」

「スケジュール。」

「は?」
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