君と僕と記憶と。
「え。」



顔から血の気が引くのが自分でもわかった。



それは稲嶺も似たようなもので、泣きそうな顔をしている。



「稲嶺…ちょっとこっち来い。」



僕はそう言ってすぐに稲嶺の手を引いて



屋上に連れていった。



正直遠いし、疲れるし屋上までの道のりは困難だが、今はきちんと稲嶺と話す必要がある。



「ふぅ…ついた。」



屋上まで早足で行き、一息つく。




稲嶺を見るとまだ泣きそうな顔をしていた。
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