君と僕と記憶と。
「大丈夫か?」



「うん…。あのね。私ね!」



「落ち着け。ゆっくりでいい。」



今にも零れそうに、目に涙を溜めて稲嶺は喋り出す。


「毎日きっちりノートに書くの。その日あったこと、何をしたか、どう思ったか。」


震えながら稲嶺は話す。


「毎朝それを見て…学校に来てた。」



「うん。」



何をいえばいいのかもわからず、ただ相槌を打つ。



「でも、昨日のノートにはただ1文しか書かれてなかった。いつもはノート2ページは使って細かく書いてあるのに!!」



稲嶺の声は叫び声に近かった。



「私、怖い。1日何が起こったかが分からないことがこんなに怖いなんて思ってもなかった…。」




「……。」
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