御曹司と溺愛付き!?ハラハラ同居
オリンピック観戦ツアーで多数の客と契約を結び、もちろん料金を振り込ませておいて、その飛行機もホテルも、各競技の観戦のためのチケットもすべてキャンセル。
そして、料金を返金することなく、そのまま逃げたんだとか。

寝耳に水というのはこういうことをいうんだと、呆然と立ち尽くす。


「チケット等のキャンセルを誰かがしていたはずですが？」

「すみません。私にはわかりかねます」

「『わかりかねます』で済むと思ってるんですか？」


そんなこと言ったって、私は通常通りカウンター業務をしていただけで、そのときはチケットが確保されていることも確認していた。

それをこっそりキャンセルされていたら、私たちだってお手上げだ。


「社長はどこです？」

「すみません。わかりかねます」

「あなたねぇ。『わかりかねます』しか言えないの？　何人のお客さんが泣いていると思ってるんだ！」


そのうち私を責めだした新聞記者らしき人に、「すみません」と頭を下げたが、私が泣きたいくらいだ。
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