御曹司と溺愛付き!?ハラハラ同居
私と佐橋さんは、そのまま黙ってミーティングルームを出た。


「桑田さん頑張るなぁ」

「できる人なんですね」


意地悪なことも言われたが、輝いている女性というのは同性としては誇らしい。


「うん。証券会社でくすぶっていたところを一木さんが拾い上げたって聞いたよ。桑田さん、今すごく推してる株があるんだよね。とある開発に成功してその発表があったんだけど、あまり株価が上がらなかったんだよ。でも、桑田さんとしては、もっと上がってもいいと踏んでいる」


それは一木さんがさっきリスクが高いと言っていた株のことだろうか。


「佐橋さんもそう思われます?」

「うーん。難しいよね。あっ、電話が鳴り始めた」


それから私たちはしばらく電話の取次ぎに追われた。
一木さんが戻ってくると、さっそく指示が飛ぶ。


「蓮川、出前だ」

「はい」


もう一度任せてくれた彼に頭を下げ、今度こそ注文も時間もきちんと確認して無事に済ませた。
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