御曹司と溺愛付き!?ハラハラ同居
一木さんはちょっぴりイジワルな顔をして、口角を上げる。


「えっ、蓮川さん、彼氏持ち?」


すると佐橋さんがすぐに反応した。


「いるだろうな、これは」

「い、いません」


慌てて否定したのに、一木さんは追い打ちをかける。


「その焦り方。説得力がない」

「マジかぁ」


なぜか佐橋さんが盛大なため息をついているが、私はそれどころじゃない。


どうしてそんなこと言うの?
そもそもこの料理は、あなたのために作ったのに。

でも、これ以上になにを言っても一木さんに勝てる気がしなくて、黙ったまま弁当を口に運んだ。


「別に彼氏がいようがいよまいがどっちでもいいわ。女はこれだからって言われないように働きなさいよね」


すると桑田さんが私をギロッとにらんで冷たく言い放つ。


「はい。頑張ります」


おそらくこの人は、そう言われ続けてきたのだろう。
必死に頑張ったのに、そう。
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