御曹司と溺愛付き!?ハラハラ同居
信じてる
それからひと月。
あっという間に時間は過ぎた。

恋愛レッスンとやらを始めた一木さんは、時々私を抱きしめてみたり、耳元でドキッとするような言葉を囁いたりするので、困っている。

昨晩も——。


「英莉」


私が少し遅めに帰ってきた彼のために晩ご飯を温めなおしていると、足音も立てずに私のうしろにやってきて、不意打ちでうしろからグイッと抱き寄せ名前を呼ぶ。


「わっ! ち、ちょっと……やめてくださいってば」


刺激が強すぎるレッスンに動揺してしまう私は、思いきりもがいてしまった。


「それじゃダメだ。こういうときは体を預けて『淳也さん』って囁いてみろ」

「もー、なに言ってるんですか!」


口をとがらせ怒ったフリをしながらも、内心は心臓が飛び出しそうなほどドキドキしていた。

『淳也さん』なんて絶対に呼べない。


「そうやって照れて軽く拒否られるのもいいけどな。自分好みの女に仕立てたいという欲求がムクムク湧いてくる」


そんなの、湧かなくていいと思う。
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