御曹司と溺愛付き!?ハラハラ同居
「一木さん、あの……」

「お前たちは挽回するすべを考えろ。ただし、大きな博打は許さん」

「はい」


一木さんの指示で、皆が再びパソコンに向かい始める。


「蓮川」

「はい」

「ここに電話をして秘書から社長のスケジュールを聞き出せ。謝罪に行く。それと営業部のダイオー電機担当にも連絡を」

「わかりました」


どうやら損害を与えたのは、大手の電機メーカーのようだ。


「五千万は厳しい……」


誰かがそう漏らしたのが聞こえてしまい、ハッとする。
億単位のお金を動かしているというここでも、五千万はやはり大きい。

そこへ、桑田さんが走り込んできて、一木さんは鋭い視線を向けた。


「あの……」

「桑田。自分がなにをしたのかわかっているな」

「はい。申し訳ありません」


顔面蒼白というのはこのことを言うのだろう。
唇をがたがたと震わせ、いつもの強気な姿が鳴りを潜めている彼女は、目にうっすらと涙を浮かべている。
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