御曹司と溺愛付き!?ハラハラ同居
彼は私が手渡したメモを見て、ダイオー電機の社長が訪問する予定の家電量販店を指さした。

そこでひと言だけでも謝るつもりだろう。
謝罪は早いほうがいい。


すぐに営業にその旨を伝え電話を切ったものの、まだ桑田さんは呆然としていて、なにも手につかない様子だ。


「桑田さん。皆さん、カバーする手立てを考えていらっしゃいます。桑田さんも」


こんなこと、私が言うなんて生意気なのはわかっている。
でも、一木さんをはじめとして他の皆は必死に挽回の可能性を探っていて、桑田さんのことを気にかける余裕がない。


「あなたになにがわかるの?」


すると彼女は声を震わせる。


「わかりません。私にはできないから、桑田さんに頼んでいるんです。損害を出したままあきらめますか? それでいいですか?」


私には挽回の方法なんて少しもわからない。
でも、彼女のチームだけでなく、他のチームも有力な情報を出し合い知恵を絞っているのだから、彼女もやるべきだ。
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