御曹司と溺愛付き!?ハラハラ同居
すると彼女はスクッと立ち上がり、一木さんの前まで行った。


「社長には私が謝罪に行きます」

「お前はいい。冷静に物事を判断できるヤツしか連れていかない。蓮川、お前が同行しろ。秘書的な役割ができる人間がひとり必要だ」


私? そんな重要な役回りは私では無理だ。


「いえ、でも……」


私が驚く以上に、桑田さんが驚いている。


「お前は土壇場に強い。俺があきらめることでもあきらめようとしない」


それは……もしかしてあのチケットのことを言っているの?

あれはたまたま私が業界に詳しかったからで……。と思ったけれど、そうだろうか。
たとえコネクションがなくても、とりあえず空港まで行きチケットを探し求めたような気もする。


「それに、お前は顧客への謝罪というものがどういうものかわかっているはずだ」


それは多分、トーリツツーリストがつぶれてしまったときのことを指しているのだと思う。
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