御曹司と溺愛付き!?ハラハラ同居
「ずっとここにいろ」


いても、いいのかな。

桑田さんは、あなたにとってどういう存在なの?

でも、それを聞くことはできなかった。
私もここにいたかったからだ。


「……はい」


そして私はうなずいた。


それから久々に彼と一緒にゆっくり食卓を囲んだ。


「英莉の料理に支えられたよ」

「本当ですか?」

「あぁ、でも温かいのはやっぱりいい」


彼はリラックスした様子で、豚の生姜焼きを口に運ぶ。


「もっといろいろ作りますね。あっ、そういえば会社にスマホを忘れていらっしゃいました」


スマホの存在を思い出し彼に渡すと「すぐに寝ちまったから気づかなかった」と受け取り、着信の確認をしている。
でも、桑田さんの顔がよぎってしまった私は、慌てて味噌汁に視線を移した。


「ちょっとごめん」


そして彼はスマホを手にして立ち上がり、廊下へ出ていく。
私の気づかないうちに着信があったのかも。

もしかして、桑田さん?

彼が出ていったドアをじっと見つめてしまうのは、早く戻ってきてほしいからだ。


それから三分ほどして彼は戻ってきた。
< 168 / 344 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop