御曹司と溺愛付き!?ハラハラ同居
それに、一木さんに内緒は無理だ。ご飯を作らなきゃ。


「十分貢献したよ。定時で上がれる?」

「多分」

「じゃ、裏玄関出たところで待ってる。それじゃ」

「待ってください。行くとは……」


言ってないのに、夏目さんはてきぱき決めて行ってしまった。


「どうしよう」


一木さんになんと言ったらいいのだろう。

夏目さんの名前を出しちゃダメなら、友達に誘われたからでいい?
別に一木さんの彼女なわけではなく、ただの家政婦なんだし、うしろめたいことなんてなにもない。

どうしてだか自分に必死に言い訳をつきながら、小さなため息をついた。


その日は定時ですべての業務を終えることができた。

津川さんと話をしている一木さんのことをチラッと視界に入れながらも、いつものように挨拶をしてフロアを出る。
ここまでは普段通り。


一木さんはこれから各チームの状況を確認してから帰宅の途に就くので、いつも私より少し遅い。
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