御曹司と溺愛付き!?ハラハラ同居
「ここ。こっち」


夏川さんの声だけど、どこだろうと探していると、彼が路肩に停めた車の中から呼んでいるのを見つけた。


「ごめん、待たせた? ちょっと話が長引いちゃって……乗って」


もしかして営業先からわざわざ迎えに来てくれたの?


「いえ、大丈夫です」


彼が中から助手席のドアを開けてくれたのですぐに乗り込む。
ここは車通りが多く、長く路駐できないからだ。


「誘ったの俺なのに遅れてごめんね」

「いえ」


あっ……。
そのとき、私たちが乗る車の横を、見たことがある白いBMWが駆け抜けていった。
一木さんだ。見られた?


「実は新しい契約が取れてさ。この間の蓮川さんの勇気ある姿を見ていたら、俺も頑張らないとって気合が入って……。あれ、聞いてる?」

「あっ、すみません。ちょっとやり忘れた仕事があったような気がして。でも、ちゃんとやったのを思い出しました」
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