御曹司と溺愛付き!?ハラハラ同居
一木さんの車を見た瞬間、頭が真っ白になって夏目さんの言葉が耳に入らなくなってしまった。

食事に行く相手をごまかしただけで、こんなに心苦しいとは思っていなかった。
でも、これでは夏目さんに失礼だ。


「あはは。やっぱり真面目なんだね。それじゃ行こうか。俺の知っているところでいい？」

「はい、お願いします」


最近、一木さんの車に乗せてもらうことが増えたとはいえ、男の人とこの近い距離は緊張してしまう。


「急にごめんね。迷惑だった？」

「いえ、そんなことは……」


ちょっと困ったことは内緒だ。


「蓮川さんって、彼氏いないんだ」

「えっ？　そう、ですね」

「いたら来ないよね」


だからバレたのか。
もしかして、ああやって誘って様子を見たのかな？


「ほら、ここ。ここのレストラン、シーフード料理がすごくうまいんだ」

「そうなんですね。楽しみです」


そんなことを口にしながら、なぜか一木さんと一緒に食べたカニの鍋を思い出していた。
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