御曹司と溺愛付き!?ハラハラ同居
口元に小さなほくろがあり、鼻筋は通っていてスラッと高く、涼しげな二重の目が印象的な彼は、百八十センチを越える身長の持ち主で、私より二十センチほど高い。


あゆみが『あの人』と言うのは、以前他の客に言いがかりをつけられたときに、彼が助けてくれたからだ。

その言いがかりというのは……客が注文を間違えたのにも係わらず、私が間違えたと言い張り、商品を変えろと言いだした。

仕方なく作り直そうとしたとき、うしろにいた彼が、『それ、間違ってないです。聞いてましたよ』と助け舟を出してくれた。


彼が注文するのはいつもオーソドックスなブラックコーヒー。

いつもピッタリサイズの合ったスーツを着こなしている彼は、おそらくこのビルのどこかの企業で働いているのだと思う。
そして息抜きに利用してくれる。


「お礼、言ってきていい?」

「うん、もちろん。お近づきになっちゃって! あっ、ちょっと待って」


彼女は私の肩下十センチほどの髪をさっと整え、「メイク直しもしたほうがいいわよ」なんてなんだか楽しそう。
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