御曹司と溺愛付き!?ハラハラ同居
桑田さんが詰め寄ると、一木さんは眉をしかめる。


「早くしてくれ。まだ仕事が残ってるんだ」

「それじゃあ、仕事のあとに時間頂戴よ」


やっぱり、上司と部下の会話ではない。
桑田さんは仕事中、一木さんには敬語だ。


「もう聞く話はないだろ。何度も言ったはずだ。俺は正幸(まさゆき)の友達だ」


正幸って誰だろう。
株式運用部にはそんな名前の人はいないけど……学生時代の友人だろうか。

でも、その友達がどうしたの?


「わかってる。私だってちゃんと考えたの。でも……」

「それ以上言うな」


緊迫した空気が漂い、ふたりに視線が釘付けになる。
盗み聞きなんてしてはいけないと思うのに、動けない。


一木さんは桑田さんをたしなめると、話は終わったと言わんばかりに階段を上がろうとした。
すると……。


「私をここに引っ張ってくれたのは、受け入れてくれたってことでしょう?」
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