御曹司と溺愛付き!?ハラハラ同居
苦しげな顔をした桑田さんは彼の腕を引き……あっという間に唇を重ねる。
その決定的瞬間を見てしまった私は、頭が真っ白になりながらも、慌ててその場を離れた。

そして走って走って……エレベーターに乗り込み、ビルを飛び出す。

それからどこをどう歩いたのか、まったく覚えていない。
気がつくと、見知らぬ景色が目に飛び込んできて慌てた。


「ここ、どこ?」


いや、それより……。

『受け入れてくれた』って……やっぱりふたりはそういう関係なんだ。


彼女は別の会社から転職してきたと聞いた。
一木さんが引っ張ってきたと。

彼女が一木さんの彼女なら……それもありうる。

いや、桑田さんはそうでなくても優秀な人だ。
だから実力でもここに来られたかもしれない。

だけど、きっかけは間違いなく、個人的な付き合いだ。


私……どうしてこんなに動揺しているのだろう。
そもそもふたりの仲を疑っていたのだし、桑田さんにもけん制された。
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