御曹司と溺愛付き!?ハラハラ同居
だからこそ、いい加減な気持ちで触れてほしくない。
私は、真剣だから。


涙を拭えば拭うほどあふれてくる。

私はやっとのことで首を振り、自分の部屋に駆け込んだ。
それからベッドに突っ伏してしばらく泣き続けた。


私……手の届かない人を好きになってしまった。

彼はグローバルアセットマネジメントという大きな会社を、近い将来背負う人。
そんな人の隣が、私でいいわけがない。

彼には桑田さんのようにできる人がそばで支えるべきだ。

もし、桑田さんと彼がうまくいかなくなったとしても、私はその空いたイスに座ることは絶対にない。


「英莉」


それからどれくらい経っただろう。ドア越しに彼の声がした。


「すまなかった。恋愛レッスンなんて言いながら、本当は俺自身が癒されていた」


えっ? どういうこと?


「お前を抱きしめている間は、なにもかも忘れて心が穏やかになれた。お前に触れているだけで、力がみなぎってきた。お前に……」
< 223 / 344 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop