御曹司と溺愛付き!?ハラハラ同居
弱い、と言われればそれまでだ。
その言葉を甘んじて受ける。

でも、それくらい彼のことが好きになってしまった。


「すみま、せん」


私にはそうとしか言えない。
すると彼は立ち上がり、部屋の隅に置いてあったバッグから私の退職届を持ってきて……。


「あっ!」


私の目の前で破ってしまった。


「理由のない退職は受け付けない。よって、離職票も出せない。次の就職はできないと思え」


威圧的な上司の言い方をした彼は、悲しげな表情でじっと私を見つめている。


「お前には辛い仕事だったか?」


今度は優しい声色で聞いてくれる彼に首を振る。


「いえ。難しくてついていくこともできませんが、淳也さんたちが必死に毎日戦っているのを見ていて、私も頑張ろうと思っていました。でも……」

「でも?」


彼は私のところに近づいてきて、今度は真横にぴったりとくっついて座る。


「……ごめんなさい」


やっぱり言えない。
私が言葉を濁せば、彼は「はー」と大きなため息をつく。
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