御曹司と溺愛付き!?ハラハラ同居
「そんなに仕事がイヤだというなら、辞めさせることも考えた。それぞれ、適正というものがあるしな」

「えっ?」


彼の言葉に驚きハッと彼を見上げると、苦しげな顔をする彼は再び口を開く。


「英莉は頑張り屋で、自分のことを放っておいてさえ、他の人間の立場に立って物事を考えられる。だから俺としては、うちに欲しい人材だった。でも、真面目なお前に逃れる場所を作ってやらなかったから、それが苦しかったのかもしれないと……」


そんなことは絶対にない。
苦しくなんてなかった。


「ダイオー電機の社長の件も、あそこまでなりふり構わず自分を犠牲にしようとしたのは、英莉の真面目さ故だ。でも、社員にあんなことを口にさせてしまうなんて、俺の力が足りない……」

「違います!」


だって守ってくれたのはあなたじゃない。


「私……あそこに淳也さんがいなかったら、あんなことは言いませんでした。淳也さんを信じていたから、私……」
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