御曹司と溺愛付き!?ハラハラ同居
「病室の前まで行ったんだけど、彼女はドアを開けられなかった。正幸が一番辛いときに支えられなかったと、泣いていた。もちろん、桑田を遠ざけたのは正幸だ。でも、そんな嘘すらわからなかったと桑田は自分を責めて……」


桑田さんの気持ちがわからないではない。
でも、今はそれを悔やむより、正幸さんの力になってあげてほしい。


「淳也さん、今すぐ桑田さんを呼び出してください」

「え……」


桑田さんのことが憎かったはずなのに、それどころではない。


「病院に行きましょう。私が桑田さんを説得します。早く!」


いてもたってもいられない。
桑田さんはこの瞬間も、泣いているに違いない。


「わ、わかった」


それからすぐに彼は電話をかけ始め、私たちは家を飛び出した。

淳也さんとのことはあとでもいい。
とにかく今は、正幸さんに桑田さんを会わせてあげたい。
< 278 / 344 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop