御曹司と溺愛付き!?ハラハラ同居
「私は淳也さんの足を引っ張りたくないの」


うつむいたまま言うと、彼が私を壁に追い詰め、ドンと手をつく。


「それは熱烈な愛の告白?」

「えっ?」


なに言ってるの?


「俺のことが好きだからこそ、あきらめるって聞こえるけど」

「あ……」


そんなふうに言ったつもりはなかった。
でも、その通りだ。


「英莉のそういうところが、好きなんだ」


今度はついていた腕を折り、さらに距離を近づけてくる。


「自分のことより、まずは周り。周囲の人たちの幸せを見届けて、やっと自分の幸せを考えるようなところ」


それは過大評価しすぎだ。


「俺にも愛の告白をさせて?」

「淳也さん……」

「英莉はなにがあっても俺が幸せにする。お前のことを悪く言うヤツは、俺が黙らせる。お前のことは、俺が守る」


彼の発言が耳に届くと、たちまち体が熱くなる。
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