御曹司と溺愛付き!?ハラハラ同居
彼の言葉に頭を殴られる。

そんなことじゃないのに。
私はただ、桑田さんに嫉妬しただけ。

自分の器の小ささに唖然として、言葉が出てこない。


「俺はお前を手放すつもりはないよ」

「えっ?」

「上司としても、男としてもね」


彼は私に一瞬視線を送り、再び前を見据えてハンドルを握りなおした。

彼のマンションに着くと、ホッとして気が抜ける。
またここに帰ってこられたといううれしさで、胸がいっぱいだ。


「そういえば、ハンカチ……」


すっかり忘れてた。


「俺が返しておくよ。隣の本城とは友達なんだ」


やっぱりそうだったんだ。
それで、私たちがケンカをしたと思ったふたりが、機転を利かしてこのハンカチを私に持たせたんだ。


「あのふたり、いつもケンカしてて笑えるぞ。ま、ケンカするほど仲がいいってやつなんだろうけどさ」


そういえばあのときもケンカしてた。
それを思い出してクスッと笑うと、彼は私の腰を抱く。
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