御曹司と溺愛付き!?ハラハラ同居
しかし、察しのいい佐橋さんはすぐになんでも気がついてしまう。

前場が終わり皆に出前を配り終えると、佐橋さんが淳也さんに声をかけている。


「あれ、一木さん、弁当復活ですか」

「まぁな」


一応違う味付けのおかずを忍ばせてはあるものの、材料は同じものもあるのであまり観察されたくないのに。


「やっぱり怪しい。蓮川さんがいないときだけないって……」

「お前、妄想が過ぎるぞ。昨日は作ってもらったのに持ってくるのを忘れたと言っただろ。蓮川には彼氏がいるんだろ。失礼だぞ」


淳也さんは私をチラッと視界に入れる。

仕事がやりにくくなるから、交際を内緒にしておいてしほしいとお願いしたのは私だけど、困るのを楽しんでいるかのようだ。
『その彼氏は俺だけどな』という心の声が聞こえる。


「そっかぁ。蓮川さん、どっちにしてもやっぱ彼氏いるんだ」

「なんだ佐橋。蓮川のこと好きなのか?」


淳也さんの鋭い指摘に、佐橋さんが慌てだす。
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