御曹司と溺愛付き!?ハラハラ同居
その日、淳也さんは一心不乱に仕事に打ち込んでいた。
無論、彼が仕事の手を抜かないのはいつものことだが、集中力が違うというか……話しかけることもためらってしまうほどだ。

海外とのやり取りもいつもより多く、電話では英語が飛び交っていて、その姿に胸をときめかせていたことは内緒だ。

だけど、ちょっと頑張りすぎなような気がして、コーヒーを持っていった。


「サンキュ」

「あの、少しは休憩してください」

「そう、だな。でも今は……。いや、なんでもない」


なにか言いかけた彼は、途中でやめてしまった。

そして、休憩するどころか、パソコンの画面に視線を移し海外取引のチェックをしている。
それから、いつになく厳しい顔をしてキーボードを叩き始めた。


なにが大きな動きがあったのかもしれない。と思ったものの、津川さんたちは通常通りで、殺伐とした雰囲気を漂わせているのは淳也さんだけだった。
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