御曹司と溺愛付き!?ハラハラ同居
その日、帰宅して彼からリクエストのあったビーフシチューを作って待っていたのに、なかなか帰ってこない。
ソワソワしていると、二十一時を過ぎた頃、ようやくチャイムが鳴った。


「おかえりなさい!」


玄関で彼を迎えると、心なしか顔色が悪い。


「ただいま」

「あの、大丈夫ですか?」

「うん、ちょっと疲れた」


彼はそう言うと、玄関でそのまま私を抱き寄せる。
そして、素早く唇を重ねた。


「充電」

「あっ……はい」


もう、お願いだから不意打ちのキスはやめて。
ドキドキが止まらなくなる。


「待たせてごめんな。いい匂いだ」


彼はネクタイを解きながら、着替えに行ってしまった。
それから一緒にシチューを食べながら、私は口を開いた。


「あの、社長就任の噂があるとか……」

「はー、誰だ、地獄耳は」


それじゃあ、本当なの?


「そういう話は出てる。それに向けて頑張ろうと思ってる」


だから、あんなに必死だったの?
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