御曹司と溺愛付き!?ハラハラ同居
「いや、あのくらい。時々威圧的な客もいるだろうから、大変だよね」

「はい。 ……あっ、いえ」


思わず本音が出てしまうと、彼はクスッと笑った。
ヤバい。イケメンの笑顔って、破壊力ありすぎ。


「あの……どうかされました?」


さっきのため息が気になってしまい、思わず聞いてしまった。

でも、客のプライベートに顔を突っ込むなんてと反省して「すみません。なんでもありません」と謝り、離れようとしたけれど……。


「親父が、倒れたって」


彼が窓の外に視線を移しながら、ボソッとつぶやいた。


「えっ、それじゃこんなところでコーヒー飲んでいる場合じゃないですよね。早く行ってください」

「俺の実家、北海道なんだ。仕事が忙しくて、私用の電話に出られないでいたら、さっき気づいて……。でも、飛行機のチケットが取れなかった」


だから、あのため息なんだ。


「あの、お名前聞いていいですか?」

「ん? 五木(いつき)だけど」

「今すぐタクシー捕まえて、羽田に向かってください」

「は?」
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