御曹司と溺愛付き!?ハラハラ同居
ずっとひとり暮らしだったから、家に別の人がいるという感覚に慣れないのだ。


「おはようございます。あ、勝手にすみません……」


一木さんの顔を見て、もしかして磨き方にこだわりがあったんじゃないかとハッとした。
多分、どこかに依頼してプロにやってもらっているのだろうし。


「どうしてすみませんなんだ。助かる」


彼は柔らかい笑顔を見せ、私の隣まで来てしゃがんだ。
そして、驚くことにミトンを手にして、私がワックスを塗り込んだ靴を更に磨き始める。


「えっ! ピカピカ!」


ワックスだけでもピカピカだったのに、ミトンで磨くと更に艶が出る。
しかし、億ションで悠然と生活をしている人が靴磨きをしているのがなんだか変だ。


「最後のひと手間だ。これは仕事にも通ずる。もう終わったと思うところから、プラスアルファでフォローを加えると信頼を得やすい」

「はぁ……」


靴磨きから仕事に結び付けてしまうのは、できる男の証拠なのだろうか。
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