御曹司と溺愛付き!?ハラハラ同居
彼の腕をつかみ立ち上がらせると、彼は怪訝な視線を向ける。


「チケットは私が必ずなんとかします。あっ、ここに電話番号書いてください。取れたらすぐに連絡しますから」


私はポケットの中から仕事のときに使っているメモ帳を取り出し、彼に渡した。


「なんとかするって……問い合わせたが、満席だったぞ」

「いいから、早く」


羽田発千歳行は、たしか二十一時くらいが最終だ。
今は二十時少し前だから、タクシーならまだ間に合う。

説明している時間ももったいなくて、とにかく彼を追い立てた。


「わ、わかった」


彼は不思議そうに首を傾げながらも、私の剣幕に負けた様子で、プレジールを飛び出していく。


「あゆみ、掃除、先やっててくれない?」


もう客も数人残っているだけだ。


「うん、いいけど……。あの人、どうかしたの?」

「うん、ちょっと」


私はそのまま更衣室に駆け込み、ロッカーから自分のスマホを取り出し、電話をかけ始めた。
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