御曹司と溺愛付き!?ハラハラ同居
すると彼は目を丸くして私をじっと見つめる。

あぁっ、やっちゃった……。


「あっ、いえ。なんでもないです。すみません」


なんだか気まずくなって再び彼に背を向け、コーヒーに手を伸ばすと……。


「俺がやるよ」


彼が私の手の上からサーバーの持ち手を握る。

どうしよう。離してくれない。
しかも、私のうしろに立った彼との距離が近すぎて、息もまともに吸えない。


「別にウブなのが悪いなんて言ってない。俺は好きだけど?」


耳元で囁かれ、腰が砕けそうになる。

す、好きって!
そんな言葉をこのハイスペックイケメンに言われて、うれしくない人なんて多分いないだろう。


いや、落ち着け。彼は“ウブ”なのが好きなだけで、私が好きなわけじゃない。
それに気がつくと、ちょっと落胆しつつも、呼吸が楽になった。


とはいえ、握られたままのこの手は、どうしたら?
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